前回の続きです。
部屋に入ると覚悟を決めトイレを見せます。
水中に横たわるものがはっきりと見えます。
彼は、硬い笑顔でこちらを見つめると、何かを取ってくると言い一旦トイレを後にしました。
戻ってきた彼が手にしていたのは、誰でも一度は目にしたことのある、あのスッポンです。
安堵から自分の顔が緩むのを感じました。
彼のスッポン捌きは見事でした。
暫くすると、水位が減り、そのものは奥へ吸い込まれていきます。しかし、半分は依然として動きません。
その時、彼がスッポンを手渡してきました。己の力を試せという強い意志を感じ、スッポンを受け取ります。
そして、恐る恐る動かします。
ビチャ…ビチャ…ビチャ…ビチャ…
全然流れねーな。
こんな音では、処理できないことを悟ります。
動きを止めると、重たい沈黙が二人を襲いました。
何とも言えない具合の悪さを感じ振り返ると、彼は大きな体を揺らしながら笑っていました。
その瞬間、全ての緊張の糸が解け、気づけば自分も大笑いしてしまいました。
彼の手捌きというか、その重厚な動きが、スッポンの威力を最大値にまで高めていたことに気づいた私は、彼に教えを乞いました。
彼は、丁寧に指導してくれました。
ありがとう。
すっかり水が流れるようになりました。ありがとう。
本当にありがとう。
こうして中国に来て、初めてのお友達ができました。
以上
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